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help リーダーに追加 RSS エアボーン(ケネス・オッペル著)と疑似科学のリアリティ

  作成日時 : 2008/10/13 12:41   >>

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 エアボーン(ケネス・オッペル著 原田勝訳)を読んだ。少年少女が活躍する飛行船冒険物語で、ストーリーも訳文も悪くない。やや定番な展開で、もう一ひねりほしいと思う以外は十分楽しめるお話である。飛行船を係留したり、航空機を飛行船に収容したりする場面のダイナミズムもすばらしいと思った。が。一度感じてしまった違和感が読了するまで消えなくなってしまった。
 この物語は架空の19世紀、飛行船が主たる輸送手段となっている世界を舞台にしており、ハイドリウムなる「水素より軽い」物質が存在している。この物質は、水素どころか、おそらく1立方メートル以下の体積で100kgf弱の浮力を発生させることができる描写がある。「こちらの世界」の常識で考えれば、空気密度から考えて、仮に風船に真空を詰められたとしても、1kgf以上の浮力を生むことはあり得ない。そもそも、このような物質があれば、飛行船自体がはるかに小型に作れるはずなのに、登場するのはヒンデンブルグ号さながらの巨人機である。 
 あらゆるフィクション、いわんやファンタジーには「あり得ない」部分が必要だ。それは魔法だったり疑似科学であったりするが、あり得なさをどれだけ強引にあるいは華麗に覆い隠すことができるかが作品の質を決めるといえるかもしれない。間違っても読者の先入観や当該のジャンルのお約束に頼って世界を構築するべきではない。そうして生まれたかすかな違和感を蟻の一穴として、世界は崩壊してしまう。

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